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 オペラ座の怪人「The Phantom of the Opear」。映画やミュージカルで何度も再上演された。原作は19世紀後半から20世紀にかけて活躍したフランスの小説家、ガストン・ルルー(Gaston Leroux)。

 彼は、コナン・ドイル(Arthur Conan Doyle)の「まだらの紐」やエドガー・アラン・ポオ(Edgar Allan Poe)の「モルグ街の殺人」を読んで推理小説に関心をもち、このオペラ座の怪人を執筆したという。

 1986年10月9日、英国ロンドンのハー・マジェスティーズ・シアター(Her Majesty's Theatre)でミュージカルとして初演された。

 作曲者のアンドリュー・ロイド=ウェバー(Andrew Lloyd Webber)が当時、妻であったサラ・ブライトマン(Sarah Brightman)をプリマドンナに想定して演出されたためか、ルルーの原作訳のミステリー色は薄められ、「永遠の片思い」のドラマとなっている。

 この系列の物語はノートルダムのせむし男(Notre-Dame De Paris)、シラノ・ド・ベルジュラック(Cyrano de Bergerac )、エレファントマン(Elephant Man)、シザーハンズ(Edward Scissorhands)と数多くある。




 彼らは異形であるにも関わらず、気高い精神と秘めた誇りをもっている。そして、彼らにあたたかな視線と理解を向けるヒロインがいる。

 ここには男女関係のある典型が暗喩されているのかもしれない。ヒロインは社会的にも安定した立場にあり、彼らにシンパシーを持っている。その女性は、別に愛するものがいたとしても、彼らに対して、優しく振る舞うことができる。しかし、決定的なのは、隠されたテーマとして、いつも女性の方が選択権をもっていることだ。

 そして、誰よりも、愛されることに飢えている彼らの前を、いつもヒロインの愛情は通り過ぎていく。異形のものにとっては、ヒロインの愛情は、どこまでも遠い夢だ。届かない思いは、また自らに向かって内閉し、更なる遠い夢へと昇華していく。

 アンドリュー・ロイド=ウェバー(Andrew Lloyd Webber)の手になる楽曲に圧倒された。会場を出てから暫くは興奮がおさまらなかった。

 「永遠の片思い」の物語。誰もが知っているストーリー。オペラ座の怪人は、ヒロインを彼女を愛するもう一人の男に託し、永遠に姿を消す。老人となったその男が妻の墓を訪れる。そこには朽ち枯れたバラが一輪、手向けられていた。



 映画は廃墟となったかつてのオペラ座のシーンから始まる。そして、後に顛末が明らかとなる悲劇の中で、オペラ座の怪人の怒りを体現するかのように、人々をなぎ倒し、傷つけ、地上に落下シャンデリアが蘇る。これらのシーンにはコンピュータ・グラフィックス技術が援用されていた。

 全長40フィートのシャンデリアが落下するシーンのためのスタジオがロンドンに用意された。シャンデリアが落下してくる物語のクライマックスシーンの特殊効果撮影にコンピュータ・グラフィックスのツールが最大限に援用された。

 特殊効果担当の責任者であるネイサン・マックグィネス(athan McGuinness)は、「ラスター・システム(Discreet's lustre system)が映像制作の過程で、心臓部となり、極めて威力を発揮した」と語っている。

 また、このツールは、ニコラス・ケイジ(Nicolas Cage)主演のナショナル・トレジャー(National Treasure)の特殊効果撮影にも使用されている。

◆公式ホームページ(日本語版)
◆予告編(アップルコンピュータ)


2005.12.05掲載
第58回カンヌ映画祭・受賞作決定
イカとクジラ(The SQUID and the WHALE)
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