Photo by Ed Newman

　ハンク・ジョーンズが「TOKYO JAZZ HESTIVAL 2008」にやってくる。

　1918年7月31日生まれだから、8月30日にGREAT AMERICAN STANDARDSとして演奏する時には90歳になっている。

　ジャズの歴史の中では、ドラッグ摂取などで、夭折のプレーヤーが多いが、こんなにも長く、最前線で活躍している彼はバーチョーゾと呼ばれるのに相応しい。

◆公式ホームページ「TOKYO JAZZ HESTIVAL 2008」


　ミシシッピー州ビックスバーグに生まれ、音楽一家の中で育つ。弟のサッド・ジョーンズはトランペット奏者、エルビン・ジョーンズはドラムス奏者として活躍。

　少年時代、ジャズピアニストとしてのアイドルはファッツ・ウォーラー, テディ・ウィルソン、アート・テイタム。やがてニューヨークに出て、コールマン・ホーキンス, アン、ビリー・エクスタインらと共演。

　この時期、彼のキャリアを輝かせたのが1947年秋、ノーマン・グランツのジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック・パッケージへの参加だった。

アットJATP1949

　1948年秋、エラ・フィッツジェラルドのお抱え伴奏者としてイギリスでのツアーに同行、ジャズピアニストとしての名声を確固たるものとする。

　エラ・フィッツジェラルドは、サラ・ヴォーン、ビリー・ホリデイと並び称される女性ジャズ・ボーカリストの一人。 彼女との共演は1953年まで続き、この間、数多くのアルバムを残している。推奨版は「アットJATP1949」。チャーリー・パーカーも共演している。

ナウズ・ザ・タイム+1 [Best of]

　この時期、チャーリー・パーカーと共にいくつかの歴史的に重要な録音を残した。推奨版は、 ナウズ・ザ・タイム+1 [Best of] 。このアルバムにある「The Song Is You」でのハンク・ジョーンズのリリカルな演奏が素晴らしい。

　ビバップの創造者として知られるチャーリー・パーカーの演奏は疾走感溢れるエネルギッシュなもの。パーカーは、そんな作品の中に、対極的な演奏スタイルを持つ彼のリリカルで洗練された味付けを加えたかったのかも知れない。

　その後、アーティ・ショウ、ベニーグッドマン、レスター・ヤングなどの録音に参加、1959年から1975年の間、CBSスタジオのスタッフ・ピアニストとして活躍する。

アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード Vol.2 [Live]

　1976年にはベーシストのロン・カーター、ドラムスのトニー・ウィリアムスと共にニューヨークの名門ジャズクラブ、ビレッジバンガードに定期的に出演し、Great Jazz Trioと名乗るようになる。

　このGreat Jazz Trioはサイドマンを代えながら長年に渡り、活躍を続ける。1980年からはエディ・ゴメスとアル・フォスター、1982年からはアル・フォスターに代わりジミー・コブが参加している。

We All Love Ella: Celebrating the First Lady of Song

　新作、話題作も次々と発表している。2005年にはベーシストのジョージ・ムラーツ、ドラムスのデニス・マークレルによる「For My Father」。

　2006年には現在、その人気と実力で最も注目されている女性ジャズピアニストのダイアナ・クラールとアルバム「Dream a Little Dream of Me」で共演、2007年にはかつてのエラ・フィッツジェラルドを偲びコンピュレーション・アルバム「We all Love Ella」に参加している。