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 大好きな女優、ミシェル・ファイファー。時々、録画したDVDで観るのはアカデミー主演女優賞にノミネートされた1989年の「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」。観るというよりも聴くというのが相応しい作品。本作で彼女は売れないクラブ歌手を演じているが、サウンドトラックにも収録されている「マイ・ファニー・バレンタイン」が素晴らしい。

 今回、紹介するのは1997年公開の「素晴らしき日(one fine day)」。今をときめくジョージ・クルーニーがブレイク前に彼女と共演した作品だ。この作品もCATVの映画専門チャンネルで繰り返し、放映されている。そして、この作品で使われた「Have I Told You Lately」繋がりでヴァン・モリソンも知って欲しい。




 「素晴らしき日(one fine day)」は、共にバツイチで、幼い子供を抱えながら、新しい愛に迷っている男女の物語。舞台はニューヨーク。

 建築家として才能を高く評価されているメラニー・パーカー(ミシェル・ファイファー)はバリバリのキャリア・ウーマン。ミュージシャンの夫エディと離婚し、女手一つで病弱な5歳の男の子サミーを育てているが、仕事と育児にてんてこ舞いの毎日だ。

 新聞記者のジャック・テイラー(ジョージ・クルーニー)はようやく署名コラムで人気が出できたばかり。離婚した妻クリステンはさっさと再婚し、バハマにハネムーンに行くので5歳の娘マギーを預かってほしいと強引に押しつけてきた。

 それぞれ子供を連れたメラニーとジャックは学校で出会う。野外授業の日だが、船の時間に遅れそうになり、桟橋までタクシーを飛ばすはめになる。
 何とも高慢な女だとジャックはメラニーに反感を持つ。彼女の方も自信たっぷりで嫌みな男だと警戒している。ようやく桟橋に着いた時には船は出たばかり。皮肉を交えて罵り合っている両親を尻目に、子供たちは意気投合し、携帯電話で遊んでいる。そして、お互いの電話を取り変えてしまうが二人は気が付かない。

 その日、メラニーは大切なクライアントにプレゼンテーションする予定が入っていた。ジャックの方も、特ダネの裏をとるため、市長の記者会見に立ち会わなければならない。その間にひょんなことからジャックからメラニーが預かったマギーが迷子になってしまったり、託児所に預けたサミーは虐められるから帰りたいとだだをこねている。

 そんなドタバタ騒動の中で、何事も人には頼まず、自分でやらなければと思いこんでいるメラニーにジャックは話しかける。誰かに助けてもらうってのも大切だよと....。それを聞いたメラニーはようやくジャックに対して素直になれた自分に気づいていた。

 そんな心の動きははメラニーの仕事に対する考え方も変化させた。プレゼンテーションが終わる前に、メラニーはクライアントに、待っている子供の処に戻らなければならないので、中座させて欲しいと勇気をを出して申し出た。クライアントは、そういう人に仕事を頼みたいと快諾、事なきを得る。

 そんな二人を尻目に、子供たちは仲良くじゃれあっている。アチコチに右往左往した大変な一日も終わった。そして、その時、新しい家族となる希望が彼らの中に生まれていた。

 この作品の中で、メラニーがジャックへの思いを募らせているシーンがある。窓の外には雨が降っている。彼は私のことを愛してくれるだろうか。そこで流れているのがヴァン・モリソン「Have I Told You Lately」だ。

 本作の音楽監督ジェイムズ・ニュートン・ハワードは「コラテラル」「バットマン ビギンズ」「キング・コング」「ブラッド・ダイヤモンド」などの話題作を手がけている。さすがに選曲も素晴らしい。なお、彼はジョージ・クルーニーの新作「フィクサー」も手がけている。

1.素晴らしき日(ナタリー・マーチャント)
2.ザ・ボーイ・フロム・ニューヨーク・シティ(ジ・アドリブス)
3.フォー・ザ・ファースト・タイム(ケニー・ロギンス)
4.ママ・セッド(シュレルス)
5.サムワン・ライク・ユー(ショーン・コルヴィン)
6.ラヴズ・ファニー・ザット・ウェイ(ティナ・アリーナ)
7.ハヴ・アイ・トールド・ユー・レイトリー(ヴァン・モリソン)
8.ザ・グローリー・オブ・ラヴ(ケヴ・モ)
9.緑は異なもの(トニー・ベネット)
10.ロマンチックじゃない?(エラ・フィッツジェラルド)
11.ディス・ガイ(ハリー・コニックJr.)
12.ジャスト・ライク・ユー(ケヴ・モ)
13.素晴らしき日(シフォンズ)
14.組曲「素晴らしき日」(ジェイムス・ニュートン・ハワード)





 ヴァン・モリソンは1945年生まれの北アイルランド・ベルファスト出身のミュージシャン。マスコミにはほとんど登場しないが、本作にみられるように、映画関係者などにもファンが多いのか、よくサウンドトラックに採用されている。2000年にロックの殿堂入りを果たした。

 彼の楽曲はブルースの影響が最も色濃いが、北アイルランドの出自からか、ケルト音楽、ブリティッシュ・トラッド、そしてR&B、ジャズ、フォークとの融合も見られる。いずれにしろ、一度聴くと、忘れないような独特の歌声とブルジーなテイストがいい。

 1999年3月にリリースされたのがアルバム「Back On Top」。一番よく聴くアルバムで、彼の特色が最もよく出ている。ジャケット写真をクリックすると、試聴も可能だ。

 最新ベスト盤「Still On Top : The Greatest Hits」も評判がよいが、2年ぶりとなる新譜「Keep It Smile」が4月30日にリリースされた。

 良質なルーツ・ロック作品を輩出するレーベル=ロスト・ハイウェイからのリリースで、相変わらずジャズやブルース、フォーク、そしてトラッドまでが渾然一体となり、これこそ渋さの極みともいえる作品に仕上がっている。

 なお、2008年中には、彼が1971〜2002年の間にリリースしたアルバム全29作品をリマスター&ボーナストラック追加でリリースされる計画もあるとか。ファンとしては待ち遠しい。

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