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監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
原作:コーマック・マッカーシー(「血と暴力の国」扶桑社刊)
キャスト:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ウッディ・ハレルソン、ケリー・マクドナルドほか
2008年3月15日(土)、日比谷シャンテシネ他全国ロードショー
公式サイト:ノーカントリー

異様なまでに生真面目な殺し屋と、時代に取り残された保安官──
ふたりの男に追われる男の可笑しいほど残酷な運命


 偶然、大金をみつけた平凡な男モス(ジョシュ・ブローリン)が、金を持ち去ることで運命の歯車が大きく狂い始める。法と正義を信じる年配の保安官べル(トミー・リー・ジョーンズ)や警察を巻き込みながら、執拗に追ってくる謎の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)から逃げるモス。突如、血と終わりのない暴力に染まるフロンティアで男たちは何を見て、どこへ向かっていくのか? そして、待ち構える結末はいかに?

 本作中、ひときわ異彩を放つ、殺し屋シガーは、コインの裏表で殺しを決め、目的の為には自分の体でさえも道具としか考えていない、"純然たる悪"。反面、ルールに忠実で、生真面目、姿勢もよく、礼儀も正しい。すべてにおいて完璧ゆえ、悪にも神にも見えてしまう存在だ。

 老いた保安官が語り手となり、失われていく昔かたぎのフロンティアを嘆きながら綴られる『ノーカントリー』。しかし、本作は老いた者の小言などではなく、'80年代以降暴力的な無法地帯と化し成長してきた西部に対するアメリカ全土の嘆きを代弁し、静かに、だけど鋭く心に突き刺さる!

 コーエン兄弟待望の新作は、ここ数年ご無沙汰だったいかにもコーエンらしい作風が久々に復活した、スタイリッシュ・スリラー・サスペンス。

 デビュー作品の『ブラッド・シンプル』から、『ミラーズ・クロッシング』、『バートン・フィンク』、『ファーゴ』、さらには『バーバー』といった作品に共通するノワール的要素を含みながら、本作では常にこだわりぬく音楽をあえて抑制。静寂が引き起こす緊迫感と恐怖を観ている者の内側から引き出すという新たな挑戦を試みた。

 コーエン兄弟らしさをたっぷりと凝縮しながらも、さらに一歩先へと踏み込んだ本作は、2007年カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品され批評家からも大絶賛。「コーエン兄弟の最高傑作!」との呼び声も高い。

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