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『フランスの国際化は、今、スゴイところまで行っている。』


 フランスが1998年のワールドカップの自国開催で優勝したとき、国内から、フランス国家も謳えないようにものが何で代表チームにいるんだという声もあったそうです。そんなナショナルな感情も潜在する中で、ヨーロッパ各国はEUを形成、貨幣も統一し、実質的には国境を開きました。

 国境を複雑に接しているヨーロッパにおいては、国家が人工的に形成され、決して絶対無二のものではなく、時代と共に変質していくことに多くの人達が気づいていたのでしょう。

 フランスは、「白人のフランス人と、季節労働者としてフランスにいる人たち、そしてフランスの旧植民地出身、第三世界からの人たちの割合が、もうすぐ、ちょうど三分の一ずつになりそうなんだそう」と吉本さんもいっています。
 そして「要するに日本で言う国際化なんかとは、まるでレベルが違うって言う」そして「今後は世界中がこの方向にいくんだと思いますね」ともいっています。

 日本を取り巻くアジアの状況は少し違うようにも思うのですが、私たちの近隣は、そのヨーロッパとも異なる特殊性を踏まえながら、どのように変わっていくのでしょうか。アジアであること。アジアに住んでいること。そこでこそ可能な国家のあり方に対する「解」を探していかなければならないはずです。

 また、フランスでは、法律的に結婚していないカップルやゲイのカップルにも、結婚しているものと同等の権利が与えられたり、人間の関係や家庭のあり方も変質しています。

 EUのように国家が開いていってしまうということと、そこでの人間の関係のあり方が変質していくことには、とてつもなく大きな関係があると思えます。



「フランスの国際化は、今、スゴイところまで行っている。(中略)。そういうことを向こうの保守的な人たちは非常に恐れていて、危機感さえもっている。もちろん、進歩的な人たちは、別にいいじゃないかって言ってるらしいですけど。このフランスの状態は、要するに日本で言う国際化なんかとは、まるでレベルが違うって言うですね。何しろ保守的なフランス人は、もう追い詰められて、極限に近いところまでイッちゃってるんじゃないんっていうですから。でも、まあ、今後は世界中がこの方向にいくんだと思いますね。」

出典:「悪人正機」(朝日出版社)(P98〜99)
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