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 Google(R)が増殖、進化を続けている。検索サイトとして不動の地位を占め、そこにやってくる多くのアクセス者向けに次々と新たなサービスを提供する。そのためにはスピードが最優先されるから巨費を投じた買収も辞さない。

 そんなここ半年ほどのGoogle(R)の動向をウォッチしてみた。どうだろうか。まるでインターネット上のブラックホームのようだ。次々と関連する技術、機能を飲み込みつくそうとしている。

 


『iPhone対抗策としてのOS アンドロイド』

 昨年の11月、米Google(R)が基本ソフト(OS)を含む携帯電話開発に必要なソフトウエア一式「アンドロイド」を開発し、無償で公開すると発表した。iPhoneのユーザー・フレンドリーで革新的なインターフェイスが話題を集めていた矢先だった。

 携帯電話市場にもターゲットを定めた米Google(R)は着々と手を打っている。33社のテクノロジ企業がアンドロイドの成功を目指して「オープン ハンドセット アライアンス」(OHA)を結成。この連合には、すでに台湾のスマートフォンメーカーのHTC、無線機器の米クアルコム、NTTドコモ、KDDIなどが参加している。

 8月19日には、ドイツの携帯電話会社T-モバイルが「アンドロイド」を用いた携帯端末を発売すると発表した。


『動向を占う「SaaS」「cloud」というキーワード』

 そんなGoogle(R)の動向を占う「SaaS」「cloud」というキーワードがある。これは手元にパソコンではなく、インターネット上にあるあちら側」のサーバーなどでさまざまなデータ処理、管理が行われることを意味している。

 「SaaS」はSoftware as Service(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の略。「あちら側」.....。これまでデータ処理、管理は、マイクロソフトの提供するパッケージ・ソフトウェアに象徴されるように、「こちら側」のパソコンで行われるのが主流だった。それに対して、Google(R)が提携を強化したセールスフォース・ドットコムが提供するサービスは同社のサーバー内で実行される。具体的には、手元のPCにパッケージ・ソフトウェアをインストールする必要はない。

 「cloud」はcloud computing(クラウド・コンピューティング)の略。2006年頃から米国で使われ始めたが、インターネットをクラウド(cloud=雲)として考え、そのインターネット上のどこか(あちら側)にあるハードウェア、ソフトウェア、データリソースを利用者がその所在や構造を意識することなく活用できる環境、利用スタイルを表している。

 理論的には、インターネットでは、全てのコンピュータは繋がっている。通信速度も当初から比べれば驚くほど高速化しているし、ストレージ(記録装置)の大容量化、低価格化も進んでいる。それによって、手元のPCでデータ処理、管理しなくとも事足りる環境が生まれた。マイクロソフトはどうするのだろうか。すでに「SaaS」と「cloud」をキーワードとする戦略を準備し始めているという。これは同社にとっては創立時からの業態を大きく変更することになる。


『SNS「Friend Connect」追加の要点は他サイトとの連携』

 5月15日、すべてのウェブサイトに無料でソーシャル機能を追加させることができるサービス「Friend Connect」を発表した。

 Google(R)の常套手段としてソーシャル機能を追加できる機能は「無料」で提供。そして、この「Friend Connect」を通してフェースブックやGoogleトーク、orkut、Plaxo、hi5などのSNSと繋げる。この他のSNSと連携できるのが最大の要点だろう。

 強力で使い勝手のよい検索機能で人を集める。集めた人に対して検索連動型の広告モデルを構築する。ユニークな地図情報サービスを提供する。ウェブ上で使えるワープロや表計算プログラムも提供する。これらは全て沢山の「人」を集めたから可能となった。そして、今回は、外部のSNSを取り込む。発表されたサービス内容を見れば、なるほどと納得できるし、想定できるサービスだが、マイクロソフトがYahoo買収などで右往左往していた時期に発表というインパクトはかなり大きかった。


『こんなこともできのかという「ストリートビュー」』

 同日、グーグル・マップ上の機能「ストリートビュー」に、人物の顔をぼやけさせる技術を導入するためのテストを開始したと発表した。

 最近、我が国でも、この「ストリートビュー」の話題でメディアが盛り上がっている。若い女性のストーカー被害が怖いとの意見から、たまたまラブホテルに入る姿を掲載された男女は「可哀想だ」との意見まで喧しい。

 Google(R)側も、苦情には真摯に対応するとコメントしているが、現在の法制度、プライバシー意識の高まりなどと関連して実に難しい。何気なく見ている分には面白いし、米国では不動産業などを中心に新しいサービス立ち上げの動きもあるという。使い方次第だろうが、「こんなことができてしまう」というのは悩ましいものだ。


『医療記録サービス「Google Health」で医療費削減に挑む』

 5月20日、これでもかという程、一気呵成にGoogle(R)は、オンライン上の医療記録サービス「Google Health」を公開した。

 このニュースの重要なポイントは、後段にあるカリフォリニア大学のDean Ornish博士の指摘だ。「米国の医療費の約30%が医療情報などの非効率性によるものであり、情報をすばやく入手できるようにすることは、医療の効率改善へ第一歩だ。」

 我が国を含む先進諸国では、高齢化社会の到来を受けて、膨大な医療費負担が問題となっている。医療情報は極めて秘匿性が高いとの課題はあるが、高度なセキュリティーを確保する中で、IT技術・ツールを用いて、非効率な部分を改善できれば、社会的なインパクトは大きい。今後の推移に注目したい。


『お得意さんの広告主向けにはインターネットユーザー計測ツール提供』

 6月25日、次は広告主向けインターネットユーザー計測ツールを発表した。これによって彼らの進める検索連動型広告の威力を更に強化するに違いない。

 グーグル依存はリスクがあるとも思うが、その便利さは群を抜いている。きっと問題はグーグルをメディアとして活用する企業の方に多くあるだろう。よりユーザーに使い広告・情報提供を行う。それが具体的なサービスや商品に反映するのかが問われている。


『仮想空間サービス「ライブリー(Lively)」でセカンドライフに対抗』

 7月10日、今度は、インターネット上の仮想空間サービス「ライブリー(Lively)」を開始すると発表した。セカンドライフなどへの対抗策だろう。

 今回のキーワードも「連携」だろう。セカンドライフなどでは、作成した環境を仮想空間から他のサイトへ持ち出すことができなかったが、今回、提供されるサービスでは、動画投稿サイト・ユーチューブやウェブアルバムPicasaなどと連携している。

 さて、どんな使い方ができるのか。個人領域として自分の部屋を作る。そこには気に入った写真が飾られており、テレビのようなウィンドウからは動画がみられる。気がつくと友人のアバターが訪ねてきたり....。

 そして7月27日、オンライン百科事典「ウィキペディア」と同様の方式で競合する独自版のサイト「Knol」を23日から開始したと発表した。


『署名記事の要素を持ち込んだオンライン百科事典「「Knol(ノル)」開始』

 次はオンライン百科事典だった。ウィキペディアはとても便利だ。一方で、このニュースでも指摘されているように、書き手が不特定多数であり、情報の信憑性に課題ありといわれていた。今回、サービスが開始された「Knol(ノル)」では、基本的に署名記事となる。インターネットの一面での良さは、その匿名性。匿名性の文化の中で発展してきたインターネットに署名記事の要素を持ち込む。

 それによって情報の質は一定程度、向上すると期待できるが、それでも最終的には、その情報の質を判断するのは読み手であるのは変わりない。なお、「Knol」は「知識の集合体」という意味を込め、英語の「知識(knowledge)」にちなんで命名された。

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