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[今回の作品]
竣工間近のある住宅(《物質試行 50》)を「DUB」(増幅しながらのディストーション)してできた巨大模型を発表する予定。
[プロフィール]
鈴木了二の創作を支えているもの、それは、建築だけでなく、絵画、写真、映画、音楽、文学、哲学など、芸術・思想の世界を縦横無尽にとびまわる感性にほかならない。その感性に基づきつつ、彼は、素材、文脈、ヒト、それら「物質」の出会いから生まれるものとして、形と空間を探求する。
作品は、建築であっても本であっても全て「物質試行」と名づけられ、ナンバリングされる。鈴木が生みだす空間は、連続性と非連続性、闇と光、ヴォリュームとヴォイドといった対照的な要素の妙なる組み合わせにより、そこを歩くことがまるで「映画」の空間的体験のようになっている(実際彼は映像作品をつくってもいる)。実体としてはソリッドであっても、体験はなまめかしく流動的となる、そこに鈴木の妙がある。
[略歴]
1944年生まれ。68年早稲田大学理工学部建築学科卒業。68-73年竹中工務店設計部に勤務。70年fromnow設立。70-72年竹中工務店から槇総合計画事務所に出向。77年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。82年鈴木了二建築計画事務所に改称。97年早稲田大学教授、2004年からは早稲田大学芸術学校校長を務める。
[主な作品]
「T邸(物質試行5)」(1978)、「東久留米の住宅(物質試行17)」(1986)、「麻布EDGE(物質試行20)」(1987)、「絶対現場1987(物質試行24)」(1987)、「フォリー花と緑の博覧会'90(物質試行31)」(1990)、「成城山耕雲寺(物質試行33)」(1991)、「佐木島プロジェクト(物質試行37)」(1998)、「熊本県立あしきた青少年の家(物質試行38)」(1998)、「金刀比羅宮プロジェクト(物質試行47)」(2004)など多数。
《物質試行 No.47 金刀比羅宮プロジェクト(斎館棟)》
2004年
写真:山岸剛 |
《ディテール・モデル》
2007年
写真:山岸剛 |
[主な著作]
『物質試行 28 「非建築的考察」』(筑摩書房、1988)、『建築家の住宅論 鈴木了二』(鹿島出版会、2001)、『建築零年』(筑摩書房、2001)、『物質試行 49 鈴木了二作品集 1973-2007』(INAX出版、2007)など多数。
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