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 原油高が続いている。多くの産業分野に波及し、景気が思わしくないのに、インフレ傾向という局面となっている。周囲でも自動車に乗らないという人が増えている。そんな中、これは実用化されればいいなというプロダクツを見つけた。




 住宅メーカーではソーラー給湯システムをオプションとして提案している。ところが賃貸マンションなどの集合住宅では、ソーラー給湯システム装備の物件はなかなか見あたらない。今回、築研究所(茨城県つくば市)と東京ガスが共同開発したのは、そんな集合住宅用ソーラー給湯システムだ。

 実証実験は2月9日から15日までまで行われ、2月25日にサイト上でニュースリリースが公開された。ここではその内容を抜粋して紹介する。

 写真を見るとわかるように、今回、実験されたソーラー給湯システムはベランダの手すりに設置するもの。これなら賃貸マンションの住人でも利用できる。

 屋根に置くタイプに比べると太陽光の入射量は減るが、反面、安価で手軽に使えるのがメリット。家庭でのエネルギー消費量のうち、給湯は約30-40%と最大の割合を占めるとのこと。このようなソーラー給湯システムを集合住宅に大量普及させることで、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出削減を目指すのが開発の目的。

 このソーラー給湯システムは、約1平方メートルのパネル2枚と容量100リットルの貯湯槽で構成される。写真あるように、手すりに取り付けた2枚のパネルで太陽熱を集めて貯湯槽の水を温め、ガス給湯器で温度を調節する。 実験結果によると、
・1日の平均給湯量は457リットル
・快晴だと真冬でも約41度のお湯が得られた
とのこと。

 これは一般的な家庭の給湯エネルギーの約13%をまかなえる計算で、ガス使用料が年平均1万円前後安くなる見込みという。




 手すりのソーラーコレクターで暖められたお湯は給湯器に蓄えられ、接続ユニットを通して潜熱回収型ガス給湯器に供給される。

 ある一定以上の湯温の時にはガス給湯器は燃焼せずに直接、給湯され、また低温のお湯の場合でも水道水よりは高い温度で供給されるため、ガスの消費量は少なくて済む。このようにしてガス給湯器で使用するガスの量を減らすことができる。




『システムの仕様・構成』

ソーラーコレクター
・1平方メートル(有効1.06平方メートル)/枚
・本体:ステンレス製
・表面:白板ガラス+飛散防止フィルム

給湯タンク
・100リットル(有効86リットル・熱交換コイルより上の容量)
・ステンレス製

接続ユニット
・貯湯槽の温水と井戸水との混合機能
・過熱防止、過圧防止、凍結防止機能付き

潜熱回収型ガス給湯器
・24号(36,000kcal/時)

省エネナビユニット
・太陽熱利用量、太陽熱利用量のガス量換算、ガス料金換算(いくら得になったかを示す)


建築研究所・関連ニュースリリース(PDFファイル)

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