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 この所長の動向は、引き続き追いかけた。彼はその後も、パソコンCADシステムと施工図事務所の所員と共に現場を移動していた。その間も、パソコンCADシステムを施工図専用に改善していった。

 パソコンCADシステムを立ち上げると、最初の画面には施行物件のリストが表示される。新規物件を選ぶと、図面枠が表示され、現場名称などを記入する枠も用意されていた。また、共通使用できる詳細図データを蓄積するなど、施工図専用のCADデータも整備していった。さらに、施工図専用に改造したパソコンCADシステムのマニュアルも作成していた




 所長は自作のマニュアルを用いて、施工図事務所の所員と共に、現場の若手社員に対して、パソコンCADシステムを用いて、施工図作成のCAD教育を行っていた。やがて、専用の施工図CADシステムへと姿を変えていったパソコンCADシステムは、図面枠データ、詳細図・部品データ、マニュアルと共に他の施工現場にも導入され、有益な協力体制が確立されていった。

 このような事態は、この事例以外にも、あちこちで起こっていたと考えられる。施工現場では、情報の電子化のメリットに気づき、パソコンCADシステムで施工図を描き始めた。一方で、その動きとは別に支店では施工図CADシステムが稼働していた。この施工図CADシステムの重複運用に見られるように、施工現場との間での情報流通がうまく機能していなかった。そして、また設計と施工データをいかにして融合させるのかという新たな試行錯誤が始まっていた。

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