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 2003年の10月4日(土)から12月14日(日)、東京都現代美術館で開催された「ガウディ かたちの探求」展の取材記。本取材記は、東京都現代美術館の許可を得て、日刊建設工業新聞上に掲載した原稿に加筆したものである。

 このイベントは、これまで何度も開催された「ガウディ」に関連する展示イベントとは、その趣を異にすると事前に公表されており、特に注目していた。それは「ガウディ」の作品をCG(コンピュータ・グラフィックス)によって再現し、彼の創造の秘密を解き明かすとのコンセプトであった。

 前年、2002年はガウディ生誕150周年、それを記念して開催されたのが「国際ガウディ年」展であった。このイベントは世界各地を巡回し、東京都現代美術館にやってきた。

 「国際ガウディ年」展はスペイン国対外文化活動公社(SEACEX)とバルセロナ市文化公社(ICUB)が企画を立案し、美術評論家のダニエル・ジラル・ミラクラ氏とカタルーニャ工科大学の学生チームが制作したものが中心に展示されていた。




 会場に入ると、すぐ左手にサグラダ・ファミリア聖堂の仮説学校の壁面(部分)が実物大で展示されていた。解説資料には「実物は厚さ5cmのレンガで造られているが、本展では直径5cmのパイプで再現している」と記されていた。

仮説学校の実物写真
 更に「いくつかのガウディ建築の屋根や壁に見られる曲がりくねって形態は、根拠のない思いつきからではなく、中心軸に支えられた直線の波打つ運動から形成されている。これにより、敏速かつ容易に施工が可能で、最小の材料を持って最大の強度を生み出すことができる経済的なデザインが実現した」とあった。

 次に現れたのはアーチ状の空間。これは1889年に建設されたサンタ・テレサ学院の実物模型であった。このアーチは、カテナリー・アーチと呼ばれている。

 このサンタ・テレサ学院は、建築的には数奇な運命を辿っている。同学院の母体は1876年に設立されたサンタ・テレサ修道会である。その後、カトリックの女子教育を目的にサンタ・テレサ学院は誕生したが、当初は他の設計者による三層のロマネスク様式の建物として二層まで施工が進んでいた。

 関連資料によると、一階には修道会本部の施設と食堂、二階、三階には教室、四階には尼僧の寝室と学生の寄宿室が設けられている。ガウディは外観や細部の装飾を手がけたが、中でも、この建物のシンボルともなっているのが、カテナリー・アーチによる回廊である。

スペイン国対外文化活動公社(SEACEX)

取材協力:東京都現代美術館
(C)Nov.2003 Copy & Photo by イシカワデザイン事務所

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